幼幻記7 焼きみそおにぎり





焼きみそおにぎり

 幼幻記 7



 8月23日のお昼に蕎麦屋に立ち寄った。

 ランチメニューの中に焼きみそおにぎり付があった。

 思い出した。しその葉を付けた焼きみそおにぎりは祖母の夏の料理メニューのひとつだった。

 早速口に入れた。
 祖母の作ってくれた焼きみそおにぎりとは、触感もだいぶ違いっていた。いまのはにぎりもやわらかく、焼き方もソフトだ。

 小さなときに食べた祖母の焼きみそおにぎりは、にぎりががっちりしていて、焼き方も表面がカリカリと音をたてるほど硬いものだった。

 そしてひと口ほおばると、みその味と焦げの香ばしさが口の中に広がっていき、夏の暑さで食欲がないときにはその独特の味が最高の美味しさに感じるのだった。

 祖母はおもいきり力を入れて握っていたのだろう。その力は彼女が生きてきたバイタリティを、たっぷりしっかりすり込んだつぶみその味は彼女の人生をあらわしているのだろうか。

 このランチメニューのお陰で、忘れかけていた焼きみそおにぎりと、祖母との夏のひと時を思い出した。

 なつかしさがこみ上げてきた。

 2005年8月25日記



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